ふうえいウラ話 11


ピンク産業と「風適法」<1>

   1978(昭和53)年からのインベーダーゲームのブームでは、新宿歌舞伎町のメインストリートの1、2階の店舗が軒並みゲームセンターに変わってしまいました。
 80(昭和55)年頃になるとインベーダーのブームも下火になり、横町のゲームセンターは「本屋さん」に商売替えするところが出てきました。
 「本屋さん」といっても、普通の書店ではなく、ビニールカバーで覆ったヌード写真集……いわゆる「ビニ本」の販売店です。その後、歌舞伎町の街は一層、ピンクの度合いを増していくことになります。
 関西から広がってきたという「ノーパン喫茶」、「愛人バンク」、「デート喫茶」、「ファッションマッサージ」といった得体の知れないピンク産業が深夜テレビで紹介されるや、新宿歌舞伎町は「怪しげな街」として全国にその名をとどろかせることになってしまいました。
 トルコ風呂がトルコ大使館からのクレームにより「ソープランド」と名称を変更したのも、風営法が改正されるまさにその年、1984(昭和59)年のことでした。
 青少年の保護・育成を主目的とした新しい風営法――『風適法(風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律)』には、歌舞伎町の商店主たちもいちおう賛成を表明はしたものの、街の経済にどんな影響が出るのかという心配も隠せませんでした。
 『風適法』の施行によって、ゲームセンターが許可を必要とする業種になり、営業時間も制限され、また「ソープランド」をはじめとする性風俗関連の営業には届出が課せられる――そのことが、テナントビルを所有するオーナーにとって心配の種になりつつありました。
 そんな中で、性風俗関連営業に対する法律上の扱いについて再考を求める動きが出てきます。
 パチンコ店もマージャン店も、バーもクラブも、新たに営業を開始するには、営業所の場所的要件や、申請者の人的要件など厳しい条件が付けられ、厳格に審査されます。
 しかし、もっと怪しげなピンク産業である性風俗関連営業には、非常に簡単な届出制が採用されることになりました。極端な話、ヤクザでも届出をすれば営業ができるのです。「ピンク産業が届出制で、まともなバーやマージャン店がどうして許可制度なんだ?」
 商店主の間から、疑問の声が上がりました。

(次号へつづく)






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