ふうえいウラ話 2


出店妨害<1>

 「数億円の金が許可申請の陰で闇から闇へ動くこともある!」
 そんな事実を皆さんはご存じでしょうか?
 東京都内の有数な繁華街の大通りに面した駐車場、そこが今回のウラ話の舞台となった現場です。
 ある年の初め、許可申請のための地域調査の依頼がありました。それは「繁華街の大通りに面した角地を取得して、パチンコ店の許可申請ができるでしょうか?」というものでした。
 調査の結果、その場所は商業地域で、近隣には小中学校や病院なども一切なかったため、そのプロジェクトは極秘のうちにスタートされました。
 しかし、「極秘」といっても、広い駐車場の跡地でビルの建設が始まれば、おのずと近隣の人たちの興味を引くことになってしまいます。
 ビルの本体ができ上がり、内装工事にも取りかかり、所轄警察署の担当係長との事前打ち合わせも進めながら、シマ(パチンコ機を設置する場所)の工事がいよいよ始まろうとしていた時です。
 電話がけたたましく鳴り、「先生、隣の弁当屋がクリニックの看板を掲げましたが、大丈夫でしょうか?」と慌てふためいた声。パチンコ店を申請する会社の部長からです。
 いまにも朽ち果てそうな古びた小さなビルの1階にその弁当屋があり、ほんの数日前から内装工事を始めたのです。そのビルは、今まさに許可を申請しようとする場所に隣接するビルで、もしそのクリニックに入院施設(入院患者用のベッド)が1床でも登録されていると、こちらの風俗営業の許可が取得できなくなってしまいます。
 そうなったら、土地の取得からビル建設、店舗内装、パチンコ機の発注、従業員の手配など、これまでの準備がすべてパーになり、場合によっては会社の倒産も起こりうる大事件です。
 クリニックなどの診療所の開設は、地域の保健所に届け出れば、すぐに受理されます。
 東京都公安委員会では、風俗営業の許可申請は店舗ができ上がってからすることになっており、そのクリニックがすでに保健所への届け出を済ませていると大変なことになってしまいます。
 さっそく、内容確認のために保健所へ出かけましたが、どうにもイヤな予感がします…。

(次回へ続く)






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