ふうえいウラ話 3


出店妨害<2>

「○丁目の○番地○号の××クリニックですね。…はい、病床数1の届け出がされています」
 保健所の担当係が事務的に回答をくれました。パチンコビルの建設中に降って湧いたようなクリニックの出現に、パチンコ店を出店しようとする会社は大慌てです。
 保健所の担当係に出店計画と経緯を話し、出店妨害の疑いがあると強調してみたものの、保健所としては、一定の要件が整っていれば診療所の届け出はすぐ受け付けるとのことでした。
 「医師がいて、事前の打ち合わせをし、要件を満たしたので、そのクリニックの届け出は受理されています」という担当係の事務的な回答に対し、「なにおっ!」と、パチンコ店申請会社の部長が怒りをあらわにしますが、どうにもなりません。
 実務上、そのクリニックが入院施設(病床)を廃止するか、クリニック自体を廃止しない限り、パチンコ店の許可申請ができなくなってしまいました。このままでは会社が潰れてしまいます。会社とクリニックの戦いの始まりです。
 クリニックの医師と会って話し合いをしようとしましたが、コンタクトが取れません。それどころか、クリニックが開業する気配は一向にありません。
 このようなパチンコ店に対する出店妨害は<1>地域住民の反対運動(住居地域に隣接する場合)、<2>競合する同業者の妨害、<3>暴力団によるいやがらせ―――が考えられます。
 <1>のケースは許可に至らない場合がほとんどですが、<2>と<3>の多くは話し合い(主に金銭)で解決しているようです。
 この事例も、予想通り医師はダミーで、土地・建物の所有者が黒幕のようでした。
 ところが調べるうちに、土地・建物を所有しているのは同業者で、やっかいなことに大物代議士のバカ息子がオーナーになっている会社でした。
 やっとの思いでバカ息子に連絡が取れたものの、その要求額は半端でなく、なんと5億円!
 「こりゃ、ヤクザより始末が悪いわ…」
 パチンコ店申請の会社では、怒りを通り越して、呆れ果てた溜め息が漏れました。

(次号へつづく)






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