ふうえいウラ話 6


依願退職<2>

 大きなプロジェクトが進む時は、その雰囲気が、関係者ばかりでなく周りの人をも元気にさせてくれて、いいものです。
 パチンコ店の申請でも、申請者はもちろん、設計屋さんをはじめ工事関係や機械関係の人を含め、みんながとても多忙ですが、そんな中でも元気に走り回っています。
 そして、いよいよ申請という時は、関係者全員の期待を背負っているように感じられて、警察署へ向かう申請者の社長も、そのお手伝いで同行する私も緊張するものです。
 しかし、そんな緊張の割には、許可の申請はきわめて事務的に、あっさりと受理され、風俗環境浄化協会の実地調査も1週間後に決定しました。許可申請に対する妨害、嫌がらせもなく、これでひとまず安心です。
 通常、風俗営業の許可申請では、申請書が受理された後、風俗環境浄化協会などの実地調査をへて、許可となります。
 ただし、パチンコ店の場合は、それに加えて警察本部の担当官による最終検査があり、その最終検査でパチンコ機の機種の検査や、当のパチンコ店をはじめ賞品問屋、賞品交換所それぞれの経営者の面接があって、はじめて許可となります。
 今回の場合も、浄化協会の検査が無事に終了し、許可直前の本部検査を待つのみとなり、開店の準備も着々と進んでいました。許可の申請から約2カ月が経過し、「○月○日に本部調査が入る」という連絡もあり、開店へ向けて最後の詰めの段階を迎えました。
 警察本部の検査当日は、パチンコ店の幹部社員、設計会社・工事会社の担当、パチンコ機械の各メーカー社員、賞品問屋の社長、賞品交換所の社長といった面々が三々五々、集まり、パチンコホールの緊張が少しずつ高まっていきます。
 検査開始予定時刻の午前10時ちょうど、所轄警察庁の担当係長と署員が、警察本部の風俗営業許可の主任担当官とパチンコ機の検査官2人を伴って、やってきました。
 本部の主任担当官は、ホールに集まった関係者を前に簡単なあいさつをすると、さっそく面接のため、パチンコ店申請会社の社長とともに事務所に入っていきました。
 ホールでは、検査係官によってパチンコ機の検査が始まります。
 と、突然、事務所のドアが開いて、いま入ったばかりの担当官と社長が姿を現しました。面接が終わるには早すぎます。
 あっけにとられる関係者に対して、本部担当官はきっぱりと言いました。「本日の検査は都合により中止いたします」。その後ろで社長はうなだれ、関係者の間には、ざわめきが…。
 一瞬、「社長の罰金刑」のことが私の脳裏をかすめました。……でも、なぜ、今頃になって……!?

(次号へつづく)






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