新ふうえいウラ話 10


通報<2>

 風俗営業第2号(社交飲食店)の許可を取得した王さん(仮名)のカラオケスナックは、開店早々、多くのお客さんでにぎわっていました。
 JRの駅に近い店とはいっても、横町の小さなビルの地下の店舗なので、開店してすぐお客さんでいっぱいになるということは、かなりの営業努力があったに違いありません。道路使用許可を取って開店前にチラシを配ったことも好調な出足の要因の一つだと思います。
 しかし、あまりの好調な客の入りを見て、ねたむ人がいるというのも事実です。
 「しつこく客引きをしてますよ!」「夜遅くまで騒いでますよ!」と警察に通報が繰り返されます。そのつど警察官が巡回にきますが、通報されるような事実が見当たりません。警察官も、王さん自身も、かなり困惑している状態でした。
 すると、ある日、王さんの店が入居している同じビルの2階の窓から、大きな声が通行人に投げかけられました。「地下の店になんか入るなよ!」「汚いぼったくりの店だよ!」。
 声の主は、同じビルの2階で長年スナックを経営しているママさんのものでした。お酒が入っているのか、かなりの長時間、王さんの店の悪口をわめき散らしていました。明らかに営業妨害です。
 しかし、皮肉なもので、客層が全く違っているはずの2階の店の社用・接待の常連客までもが、地下の王さんの店にくるようになってしまいました。2階のママさんの醜態を見て、常連客も呆れ返ってしまったのかもしれません。
 今の世の中、会社の倒産やリストラが蔓延していて、バブル期にはたくさんあった会社接待も、現在は望むべくもありません。サラリーマンの少ないお小遣いで楽しく飲んでもらったり、安心して遊んでもらったりすることこそ、小さなスナックやマージャン店の繁栄をもたらすものだと思います。
 他人の店の繁盛をねたんで「通報」をしているようでは、本人の気持ちがすさむばかりか、お客さんの気持ちにまで敏感に影響してしまいます。このような「通報」は、誰にとっても、決して良い結果をもたらしません。マージャン業界でも、よく耳にすることですが…。

(次号へつづく)






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