新ふうえいウラ話 11


通報<3>

   あるマージャン店の許可申請の依頼を受けました。申請者のママさんはとても明るい人で、誰からも好かれるタイプの女性でした。うまいのかどうかは知りませんが、マージャンが人一倍好きで、楽しいマージャンを打つ人のようでした。
 その彼女が、マージャン店はおろか水商売の経験もないのに、一大決心をしてマージャン店の営業をすることになったわけです。
 いつも遊んでいる地元で居抜きの店を見つけ、営業の計画を立てていると、彼女の人柄か、マージャン友達が集まってきて、店舗の内装やマージャン卓のこと、そして経営方針などが、あっという間に決まり、しかも彼らのアドバイスや協力によって格安の費用で開店にこぎつけるまでになりました。
 店舗の改装もあらかた終わり、マージャン卓搬入のための準備をしている最中で、私も許可申請の打ち合わせで現場にいっていた時のことでした。
 二人の男の人が覗き込み、まだマージャン卓も設置されず、でき上がっていない店に入ってきました。
 「こちらのマージャン屋さんは、いつでき上がるんですか?許可の申請はきちんとしてくださいね」
 地元の警察署の保安係の刑事さんでした。ママさんをはじめ、工事関係者や私も「……?」。みんなの疑問は当然です。マージャン卓が入っていないどころか、前の店の看板は取り壊してあったので、看板すら付いていない状態で、どうしてマージャン店と分かったのでしょうか?
 「実は……」と少しトーンを落とした刑事さんの説明によると、「無許可でマージャン店が開店した」という通報があったということです。営業を妨害しようとしたのかどうか分かりませんが、それにしても早とちりの通報でした。
 その後、許可申請をした後にも、マージャン卓の具合を見ている時に、「営業を開始していますよ!」と通報があったそうです。
 後になって分かったことですが、ママさんたちがお客として通っていたマージャン店の経営者が、自分の店の売り上げに影響することを心配して、そのような愚行に走ったようです。
 しかし、このような事例には警察も理解を示してくれて、かえって担当官との関係が円滑になったりするものです。
マージャン店についての警察への通報は、奥さんの名前をかたって(?)、「夫が徹夜マージャンで帰宅しない」「夫が賭けマージャンに夢中で給料を家に入れない」といった内容が多いようです。
 嘘の通報をする人もよくありませんが、そんな通報をされないような日頃の健全な営業姿勢が、ますます望まれる時代になっているといえるでしょう。





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