風俗営業を扱う行政書士の中には、ご存じのように警察出身の「OBの先生」が多く、また毎年退官した警察官の方が多数、行政書士として登録をします。 中には大きな警察署の署長を経験したような立派な経歴の持ち主もいますが、そのような「先生」はごくごく稀な存在です。 警察の世界には非常に厳しい階級制度があり、最高位の「警視総監」から「警視監」「警視長」「警視正」「警視」と順に下がって、さらに「警部」「警部補」「巡査部長」「巡査」と続きます。 定年で退官すると、退官時の階級や経験によって、政府の機関や各種公団にはじまり、運輸・交通、建設・土木、金融・保険、そして警備保障や遊技といった分野まで、いろいろな業界に移って、役所時代に培った経験・能力を生かすことになります。(悪い言い方をすれば「天下り」です。) そして、官庁や大手企業への再就職がかなわなかった方(どちらかというと下位の階級の方)の中から、行政書士という職業を選択する方が出てきます。 行政書士の業務は非常に広範囲で、多岐にわたるものですから、試験に合格した人でも、役所出身の人でも、登録をしてすぐに仕事ができるものではありません。 風俗営業の許可申請ひとつをとってみても、『風適法』以外に都市計画法、建築基準法、児童福祉法など、多くの法律を理解していなければなりませんし、店舗図面を作成する能力も必要ですから、そう簡単には申請書は作れません。 私は東京都行政書士会の風俗営業部役員をしている関係で、たびたび新人の行政書士さん(若い人ばかりではありません)から、書類作成についていろいろな問い合わせを受けます。 あげくのはてには「どうしたら儲かりますか?」なんて質問をされることもありますが、はやっているラ−メン屋さんに「おたくのスープの作り方を教えて」と言っているようなものですよね。 もし、そういう新人の「先生」に許可申請の依頼をしてしまったとしたら……「OBの先生に頼めば許可が早く下りる」……???……とても考えにくいことです。 (次号へつづく) |
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