続ふうえい裏話 3


行政書士<3>

 パチンコ店の新規申請の依頼が、回り回って私の事務所にくることが時々あります。コンサルタントと称する人や、大手商社の関係者……人づてに私のところへ電話がきた時には、もうすでにタイムリミット。開店の日程は決まっているのに、まだ申請手続きは何も進んでいません。
 多くの場合、なぜかOBの先生が絡んでいます。パチンコ店の関係者の話では、「本部には話がついていますから」とか「OBの先生が動いてくれていますから」とか、あたかも申請書など後回しでも許可はすぐ出るような雰囲気になっています。
 OBの先生がついているからには、申請書の準備はとっくにできているのだろうと思いきや、何も用意はできていません。それまで不必要な動きばかりしていたようです。一日一日と開店予定日が近付くにつれて関係者は不安になり、「書類の作れる先生」を探すことになります。
 今年の始めにも、そんな依頼がありました。新築ビルの完成日から10日後に開店を予定しているということです。「店舗の完成から」10日後ではありません。ビルの完成からです。
 行政手続き法の運営にあたっては、申請者に不利益にならないよう「標準処理期間」という目安の決まりがあります。『風適法』では「申請日からおおむね55日以内には許可を出します」という決まりです。
 しかし、申請依頼を受けたその日は、ビルの完成日の約2ヵ月前。物理的にも、どう考えても不可能な日程です。まだパチンコ店の影も形もないのですから。
 OBの先生が所轄署の署長にあいさつにいかれたそうです。署長は「北の方ですか?南の方ですか?えっ、日本の方ですか。それならいつでも許可しますよ」と言ったとか。あまりにもリアルな話です。
 しかし、日本は法治国家です。まだ存在しないパチンコ店に許可が出るはずもなく、申請の受理すら、されることはあり得ません。
 その結果、導入するはずのパチンコ機の検定期限切れが生じて、約200台のパチンコ機がオシャカ。4000万円近い損失を出してしまいました。「商社やOBの先生が裏から手を回す」といった怪しげなに乗って大損をしたパチンコ店の実例です。
 急がば回れ ―― 適正な手続きがいちばんということをお忘れなく!





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